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生前贈与の基礎知識

財産の引継ぎにおける問題は、実際に発生をしてから、対応するものというのが、一般的な考え方のようです。
実際は生前贈与などの生前からの準備が大切です。財産が多くある場合、相続をそのまま行うと多くの相続税が発生してしまうことが多々あります。また、財産の引継ぎのときになって、思いもよらないトラブルが発生するものです。
具体的に言うと、相続人として、名乗りを上げる人が出てきたり、予期せぬ、負の相続財産が出てきたりと。これらは生前贈与など生前からしっかりと準備をしておくことによって対処ができます。
また、相続税を抑えるという点で考えても、贈与などの生前の準備は重要です。
以上のように、生前贈与などで生前から準備をしておくだけで、相続発生時の対応が大きく変わってくるといっていいでしょう。
このように生前からの対応が重要だといいましたが、生前の準備は、やることも多く一人で全部を準備できるものではありません。生前贈与を始めとする生前の準備に関しては専門家の力が必要となってきます。生前贈与対策は、信頼できる専門家におまかせください。

暦年贈与と連年贈与

贈与税というのは、もともと相続税の補完として位置づけられていたため、「相続税よりも 税率が高い」という印象から有効な手段ではないと勘違いしている人が多いようです。確かに税率は高いのですが、年110万円の基礎控除があり、年数をかければ、節税の効果も出てきます。
例えば、子供が二人いて、20年かけて、毎年限度額の110万円まで贈与をすれば、4,400万円までの財産は税金がかからないのです。
とは言え、最初から4,400万円の贈与をする意図であったと税務署にみなされると、初年度に全体を一体として贈与税の課税がされるため、注意が必要です。これを「連年贈与」と呼びますが、贈与税は税率が高いので、多額の税額が課されてしまいます。

連年贈与とみなされないためには

先述のように、ある程度年数をかけて贈与をしていく場合、連年贈与認定を避けるようにしなければなりません。そのためには下記のことを注意して、進める必要があります。

  • 最も典型的なのが、110万円を超える贈与をして敢えて贈与税申告をする
  • 贈与契約書を贈与の都度作成する
  • 贈与を受ける方ご本人の口座に振り込むなどの方法により記録を残す
  • 毎年違う時期に、毎年違う金額、違う種類の財産で贈与を行う等

相続税と贈与税の税率の差額を利用する

より財産が多い方、贈与に年数をかけられない方は、年110万円の贈与では、物足りないと思われるかもしれません。
例えば、相続税の税率が50%と予想されるような場合に、年間500万円の贈与を行うと贈与税は約50万円で実質10%の税負担となります。つまり、相続まで待てば50%もの相続税がかかるところを、生前贈与により10%の贈与税の負担で済ませてしまうことができるのです。
もちろん、事前に税理士に試算してもらった上で、実際の贈与額・贈与を行う年数等は、資産の内容、現金の有無、キャッシュフロー等を勘案して、個別に考えていかなくてはなりません。
信頼できる税理士は、にいがた司法書士法人 行政書士法人でご紹介いたしますので、お気軽にお問合せください。

相続時精算課税とは

2010年は従来の非課税枠2500万円に加えて特別控除枠が1500万円に拡大されま したので、住宅取得等資金は最大4000万円まで非課税です。(ただし、4000万円の非課税枠が利用できるのは平成22年限りで、 平成23年は非課税枠が3500万円となる予定です。)ここでは、相続時精算課税制度の一般的な説明ですので、基本的な非課税枠である2500万円での表記としております。
相続時精算課税では、65歳以上の両親から20歳以上の子への贈与であれば、2500万円までは贈与税がかからなくなります。
相続時精算課税を選択した贈与者ごとに、その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産評価額から2,500万円(累計2,500万円に達するまで複数年で控除が可能です)を控除した残額に対して贈与税がかかります。(贈与税の期限内申告書を提出する場合のみ、特別控除することができます)
また、前年以前にこの特別控除の適用を受けた金額がある場合には、2,500万円からその金額を控除した残額がその年の特別控除限度額となります。贈与の累計額が2,500万円を超える部分には、一律で税率20%で贈与税が課税されます。ここで支払った贈与税は相続税の前払いの性格を持ちます。
将来相続が発生した時に、相続時精算課税制度により贈与をした財産は、相続財産に含まれ相続税が課税され、贈与税を支払っている場合には、その贈与税額を相続税額から差し引くこととなります。
相続時精算課税制度を適用する場合は、贈与者及び受贈者に下記の要件が必要となります。

財産を贈与した人(贈与者) 65歳(注1)以上の親
財産の贈与を受けた人(受贈者) 20歳(注1)以上の子である推定相続人(注2)

(注1)年齢は贈与の年の1月1日現在で判定します。
(注2)子が亡くなっている場合、20歳以上の孫を含みます。
「相続時精算課税制度」を一度選択してしまうと、従来の「暦年課税制度」には戻せません。

相続時精算課税制度と暦年課税制度との比較

贈与者

相続時精算課税制度 65歳以上
(住宅取得資金の場合には制限なし)
暦年課税制度 年齢制限なし

受贈者

相続時精算課税制度 20歳以上の贈与者の推定相続人
(子、もしくは孫)
暦年課税制度 年齢制限なし

基礎控除/税率

相続時精算課税制度 限度額2,500万円を数年にわたって利用/一律20%
暦年課税制度 年110万円(毎年利用可)/10%~50%(6段階の累進課税)

相続時の取り扱い

相続時精算課税制度 贈与財産を贈与時の価額で相続財産に合算して相続税を計算し、相続税額から相続時精算課税による贈与税額を控除します。控除しきれない贈与税は還付されます。
暦年課税制度 相続開始前3年以内の贈与財産は、贈与時の価額で相続財産として加算します。相続財産として加算された贈与財産に対応する贈与税額がある場合には、相続税額から控除し、控除しきれない部分は切り捨てます。