遺言執行者とは、遺言書に書かれている内容を実現するために、相続財産の管理や遺言書の内容通りに遺産分割をするなど、遺言を執行する権利を持つ人のことです。
未成年者と破産者を除いては誰でも遺言執行者になれます。特に資格などは必要ありませんが、専門的知識や経験が豊富な者を選任したほうが安心です。
遺言をしようとする者は、遺言により遺言執行者を指定するか、第三者にその指定を委託できます。ただし、法律上の規定により、遺言執行者になれない人を指定したり、遺言事項でない事項について遺言執行者を指定しても無効となります。
以下の場合は、遺言執行者が必ず必要となります。法定相続人だけでは、公正な遺言執行が期待できないため、中立な立場の遺言執行者が必要となります。
遺言執行者への費用は、相続財産から控除できます。
テレビドラマの場面では、相続人が広間に集まって、遺言書を開封したりする場面がありますが、実は、遺言書は勝手に開封してはいけないんです!
遺言書を開封する場合には、民法上で手続が定められていて、「検認」という手続が必要です。これは、公正証書遺言書以外の遺言書、つまり「自筆証書遺言書」及び「秘密証書遺言書」を保管している人あるいは発見した人は、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を受けるという手続です。申立ては、遺言者の相続開始地の家庭裁判所にします。
遺言書の検認とは、遺言書の形状、加除訂正の状態、日付、署名など遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続きです。その遺言が有効であるかどうかを判断するものではありません。遺言の有効性については、別途裁判により判断することになります。
また、検認は遺言書の存在を相続人ほかの利害関係人に知らせる目的も持っています。封印のある遺言書は、家庭裁判所において、相続人または代理人の立会いのうえ 開封しければなりません。この封印とは、封に押印がされているもののことであり、遺言書が単に封筒に入って糊付けしてあるものは封印にあたりません。
※検認を受けないで遺言を執行したり、家庭裁判所外で封印のある遺言書を開封した者は、5万円以下の過料に処せられますので注意が必要です。
相続開始地の家庭裁判所へ請求します。
検認申立書、遺言者の戸籍謄本、申立人・相続人全員の戸籍謄本、遺言書の写し(遺言書が開封されている場合)
家庭裁判所は、遺言書検認の期日を相続人全員に通知します。通知を受けた相続人が検認期日に立ち会うか否かは相続人の随意です。
検認期日に相続人の立会いのもとに検認が行われ、結果を検認調書に記載します。
検認に立ち会わなかった申立人、相続人、受遺者、利害関係人へ通知されます。→「検認済通知書」
申立人は検認後、検認済証明書の申請をします。検認済証明の申請が受けつけられると、検認済証明は、その事件の番号、検認の年月日、検認済である旨および証明年月日、家庭裁判所名が記載されて、裁判所書記官が記名押印した証明文が遺言書原本の末尾に付記し契印する方法で行なわれます。
相続登記、銀行手続の際に必要になります。
検認が終了したとき、申立に基づき検認済みであることの証明文を付して申立人に返還されます。
申立人が検認済遺言書を受領するときは、その旨を記載し、署名押印した受領書を係書記官に提出して、その返還を受けます。