遺言書の書き方
遺言は、それぞれ遺言の種類によって法律で書き方が定められています。これを要式行為といいますが、遺言者の最終意思を明確にして、争いを防ぐために厳格な方法を定めています。つまり、ほんの些細な部分で誤りがあるだけで場合によっては、遺言書全部が無効になる場合があるので注意が必要です。
それでは、具体的に遺言の中でも代表的な「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」について、その作成方法を確認していきましょう。
自筆証書遺言
- 全文を自筆で書くこと
- 縦書き、横書きは自由で、用紙の制限はありません。筆記具もボールペン、万年筆など何を使用しても構いません。
- 日付、氏名も自筆で記入すること。
- 捺印は認印や拇印でも構いませんが実印が好ましいでしょう。
- 加除訂正する時は、訂正個所を明確にし、その個所に捺印の上署名すること。
公正証書遺言
- 証人2人以上の立会いのもと公証人役場へ出向くこと。
- 遺言者が遺言の内容を公証人に口述すること。(聴覚・言語機能障害者は、手話通訳による申述、または筆談により口授に代えることができます。)
- 公証人がその口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、または閲覧させること。
- 遺言者および証人が筆記の正確なことを承認したうえで、各自が署名捺印すること。
- 公証人がその証書を法律に定める手続きに従って作成されたものである旨を付記して、これに署名捺印すること。
証人・立会人の欠格者について
遺言執行者は、証人になることが認められていますが、未成年者、推定相続人、受遺者及びその配偶者、及び直系血族は証人にはなれません。また、公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び雇用人も同様です。
遺言の取り消しの方法
遺言者が遺言書を作成後、時が経つのや心境の変化などにより、遺言の取り消しをしたいと思った場合は、「遺言者はいつでも遺言の方式に従って、その全部または一部を取消すことができる」と民法で定めています。よって、遺言者は誰の同意もなく、いつでも自由に遺言書の内容を変更したり取り消したりすることができます。
遺言の全部を取り消す場合
- 遺言書の破棄
- 新たな遺言書の作成
- 以前作成した遺言書を取り消す旨の記載をした遺言書の作成
遺言の一部を訂正、取り消す場合
- 遺言書に訂正文と署名、捺印
- 以前作成した遺言書の一部を取り消す旨の記載をした遺言書の作成
- 新たな遺言書の作成
自筆証書遺言の例
- すべてを配偶者に相続させたい場合
-
子供のいないご夫婦の場合は、残った相手に自分の財産をすべて譲りたいと考えることが多いと思います。その場合は、次のような遺言を残しましょう。ご夫婦がお互いに遺言書を作って、相手の遺言書を保管しあうといいでしょう。
すべてを配偶者に相続させたい場合の遺言書例(PDF:37KB)
- 複数の相続人に財産を分けたい場合
-
誰に何を相続させるのかを、正確に具体的に書いておきます。文例中の4.のように具体的に記載できなかった財産についても、誰が相続するのかを決めておくと、後日の紛争予防に役立ちます。
複数の相続人に相続させたい場合の遺言書例(PDF:43KB)
- 相続人以外に財産を譲りたい場合
-
相続人以外の人に(例えば、長男の嫁)財産を譲りたい(遺贈したい)場合は、譲る相手の住所や氏名のほか、生年月日や遺言者との関係などを書いて、譲る相手を確実に特定できるようにします。また、後日の手続に備えて、遺言執行者を定めておく方が良いです。
相続人以外に財産を譲りたい場合の遺言書例(PDF:43KB)
- 財産を慈善団体に寄付したい場合
-
慈善団体などに財産を寄付したい場合は、寄付する団体の正式名称や住所を正確に書いておきます。また、なかには寄付の受け入れを断る団体もありますから、寄付の受け入れが可能かどうかを、事前にその団体に確認しておきましょう。また、後日の手続に備えて、遺言執行者を定めておく方が良いです。
財産を慈善団体に寄付したい場合の遺言書例(PDF:45KB)